「深圳に忘れ物を取りに行く」チームの黒子役、王 宏亮とロボマスターの夢

ニワカソフトのメンバー特集記事シリーズ。

今回は、王 宏亮(ワン ホンリャン)。ニワカソフトでは主にロボマスターチーム「FUKUOKA NIWAKA」のマネジメントを担当しています。

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FUKUOKA NIWAKA唯一の中国人

昨年、ロボマス初参戦で国際大会ベスト16という輝かしい結果を残したFUKUOKA NIWAKA。そのキャプテンを務めたのが王でした。

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今年はキャプテンこそ辞したものの、チーム唯一の中国人として、翻訳、通訳、マネジメントと、まだまだ役割は多岐に渡ります。

また、チーム以外でも、日本でロボマスターを開催できるような環境づくり(大会の宣伝、日本チームの募集、スポンサー集めなど)に加え、大会に関する書類全般の翻訳、主催側とのやりとりを行うのも王。

とにかく、ロボマスターを通して日本と中国を結ぶ人物なのです。

王 宏亮という人物

中国の首都、北京出身の王。

大学卒業後にはあのアリババ社に就職。

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「2年間、主にホームページの管理、更新の仕事をしていた。また、イベントの開催、ユーザーの管理等仕事の一環としてやっていた。 退職前の肩書はサイトディレクター。(笑)
アリババは女子ばかりで楽しかった。痩せてたし。」

またこの頃、知人に誘われて全国区のテレビCMに出演。近所で評判になりました。

「俳優デビューでした。今も仕事は募集してるんだけど、オファーは来ないね!」

その当時出演したCMがコレ。痩せてる。

当時は、仕事を終えるとすぐに剣道の稽古に向かう日々。そこで、今の奥さんと出会います。

「うちの人(奥さん)は留学で1年間北京に来てて、同じ道場で出会ったのがきっかけ。そのあと、1年間日本と中国の遠距離を挟んで、もう結婚して日本に行こうと思った。」

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当時のことを快活に振り返る王。しかし、日本で住んだ場所は山口県の防府市。なかなか仕事にも恵まれないこともあり、奥さんも教員を辞め、夫婦でアジアの玄関口である福岡に移住を決意します。

「ファミマのアルバイトの後に免税店でも働いたけど、客が中国人ばっかりで、俺日本に何しに来たんだろうと思って。で、貿易関係の企業に就職したけど、収入もあんまりよくなくて大変でそこも辞めた。」

そこで王が思い出したのがアリババの仕事。Webの仕事なら日本でもできるはずだと思い、応募したのがニワカソフト。中国向けのECや、貿易事業のメディアを担当します。

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「ある時出張で古賀さん(ニワカソフト代表)と一緒に中国にいって、中国工場の人から「日本のロボットは面白くないね」と言われて、それが古賀さんに火をつけたみたいだけど、私も純粋に “日本のチームがどのくらい勝負できるのか見てみたい” ってワクワクした。だってやっぱり中国では日本の技術が高いことは知られてるから!

それがロボマスの事業に関わりだした理由。」

仕事より好きなのは剣道

20歳から始め、奥さんと出会うキッカケにもなった剣道も、今はもう歴10年。アジア諸国で年2回ほど国際大会にも出場しています。さらに来る2月11日には、4段取得に向けた昇段試験を控えています。

「うちの人(奥さん)は7歳から剣道をやって、中学生時代山口県代表として、全国大会出場。高校生時代インターハイの常連校、大学でも全国大会出場のレベル。家族稽古でも、ぜんぜん歯が立たない。自分が試合を出たら、すぐ厳しくコメントする。男も辛いね~まあ、その嬉しさも自分しか分からないけどね。」

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王も奥さんも有段者・・・。せっかくなので、面打ちを受けてみよ・・・

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1番年下の小柳くんに受けてもらいます。いや、白刃取りに挑戦してもらいます。

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ちなみに、360度カメラでも撮影。面打ちを受ける人目線の360度動画にしようと思います。

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いざ。

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全然ダメでした。小柳くん、忖度してるくらい遅かったです。

撮影した360度動画は以下。スマホの場合、VRゴーグルをつけてVRモードにすると、より臨場感を得られます。

国に特別な執着はない

日本人と結婚し、日本のスポーツに勤しむ。すっごく日本と近接していますが、王は、「国」というものの考えについてこう言います。

「特に国籍などのことを気にしてないし、同じ趣味だし、自分が好きだから、結婚した。結婚以外でも、特に国に対して特別なことを考えたりしない。例えばスポーツ観戦ではそれぞれがそれぞれの国を応援するので、家の中でヒートアップしていつも面白いよ!」

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「日本も好きだし中国ももちろん好きだけど、固執するつもりはない。言語が違っても自分の意見さえ伝えられたら十分だから、他の国に住むことに特別なハードルも感じないよ!」

将来は全然分からない

35歳でニワカソフトを勇退。これが王の仮の人生プラン。

「将来は山口で農園を作りたいっていうのもあるし、うちの人(奥さん)も私も海外に行くのに抵抗がないから、どこか違う国に住んでいるかもしれない。やりたいことはいっぱいある!でもどれも前提はmoneyだよね!」

行ってみたい国は、イギリス。奥さんが中国に留学する前に訪れていた国を、今度は一緒に歩いてみたいそうです。

そういえばもう日本に来て5,6年。日本の好きなとこと嫌いなとこはなんでしょうか。

「特に九州の人は親切で、街は綺麗だし魚がおいしいところは大好き。嫌いなとこは、日本人が空気読みすぎるところかな。笑」

今はFUKUOKA NIWAKAで優勝を達成したい

「今は仕事がとっても大事で、今年は絶対FUKUOKA NIWAKAでロボマスター優勝を達成したい。」

昨年に引く続き今年も出場するロボマスター。まずは3月にある動画審査をパスしなければなりません。

今年のレギュレーションもほぼほぼ決まり、またここからロボット制作の佳境に突入します。

「去年のBEST16は絶対超えないといけない。今年はクラウドファンディングも行う予定だし、また応援して頂けるととっても嬉しいです。」

今年はロボマスターに先駆け、5月にカナダで行われるAI Challenge(ICRA)にも出場予定。こっちは、歩兵ロボットを自動律(全自動)にして戦う、まさに前哨戦。昨年の悔しさと手ごたえを引っ提げ、王とFUKUOKA NIWAKAはまた挑戦を迎えます。

「また夏に深圳へ、忘れ物を取りに行きます!」

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関連:FUKUOKA NIWAKA Webサイト

この記事を書いた人
  • イトヤマ

    制作/企画/インタビュ-糸山 晃司

  • シゲナガ

    企画/編集/インタビュー繁永 悠太

  • コヤナギ

    企画/編集/インタビュー小柳 博己